• ゲームの開発費

    今回は、ゲームにまつわるお金の事を考えてみましょう。
    いろいろ考えたのですが、具体的な数字は出来るだけ避け、大雑把に意識してみ る・・ということで話を進めていきます。
    もちろんこれは時代や会社の体制・・それにゲームのジャンルなどによってかな り変わって来るものですのですからね。

    まずは、ゲームの開発のみで経営しているソフトハウスを例にとっていきます。
    とりあえず、ゲームを開発するに当たって、単純に開発費とよばれてしまうもの と会社を運営するに当たって必要な諸経費があります。(個人的には開発費と呼 ぶのもイヤなんですけど・・制作費と呼んでくれよぅ)諸経費はまあ、光熱費や 事務用品代にオフィスの賃貸料なので、特に取りたててここで語ることではない でしょう。

    で、肝心の開発費なのですが・・・人件費がメインになります。
    総務や広報の人件費をこちらに入れるかは会社にもよるのでしょうが、税金対策 などの為に、開発部隊を別会社扱いにしているところもありますので。
    あとは宣伝費、機材費などで普通に考えれば単純な構造です。
    が、これらにどの程度割り振っているかで、会社のスタンスなどが見えてきます ので、これからゲーム業界を目指す人はその会社のお金の使い方を客観的に見て おくと、いいのではないでしょうか?

    では、まず開発費から考えてみましょう。まず一番大きいのが人件費ですよね。
    ソフトの業界というのはとかく人件費を製造業でいうところの原材料費程度に考 えている所が多いようです。

    ですから、はっきりいって殆どのゲーム会社が人材育成という概念がまるでない、 もしくはその余裕がないのが実情です。
    また技術的な移り変わりも激しいので、勤続年数が長くなって給料を上げなけれ ばならない経験者よりも、夢多き若者を安い給料で雇ったほうがいいという面も 多いですね。
    で、がんばってゲームを制作する訳ですが、ゲーム開発者としてはどういう部分 に人件費をかけるのか?が重要になってきます。
    たとえばオープニングムービーを入れるのかどうか?もしいれるならどういった 物を入れるのか?それによってどの程度購入者増が見こめるのかを考えて導入し たいところです。

    たとえばアニメーションムービーを入れるなら、アニメの制作費と主題歌などの レコーディング、声優を前面に宣伝広告をするなら有名声優をプロダクションご とに依頼をし、レコーディングスタジオとスタッフを手配するなどの経費が、掛 かってしまいます。

    また、3DCGによるムービーにしろ、制作を内部スタッフでやるのか、それと もCGプロダクションに発注するのか?
    また専用のモデルやモーション制作を内部でやったとして、スタッフの維持や制 作ラインが効率良く機能するかも問題になってきます。

    次に宣伝広告なのですが流通などの改革もあり、最近はより複雑な状況になって きていています。
    会社の規模や状況によって、広報と営業が近い立場や兼任していたり、社長が営 業してディレクターが広報活動したりと形態は様々なようです。
    ともかく営業が軽視される面が問題にはなっていますが、これは同時に本当にい いものでなければ、営業力が発揮されることはないということでもあります。

    こういった諸事情がまずある訳ですが、それはさておき開発者にとって出来るこ とというと、大きく分けて2つあります。
    一つめは、納期を絶対に守る!ということです。

    バグが発覚して発売が何ヶ月か延びれば、追加の開発費だけでなく発売日変更に ともなう追加広告が必要になります。
    また、印刷物関係(マニュアルなど)の変更はとにかく小回りが効かない部分が ありますので早めに手配することが重要です。

    その為にはしっかりとしたスケジューリングなどが出来ることが重要なのですが、 自分自身や他のスタッフの実力と作業速度をお互いが把握しておき、何らかのミ スなどで、スケジュールが遅れてしまいそうな時は、お互いに助け合えることが 重要なのではないでしょうか?
    これはある意味、ゲーム業界で協調性を重要視される一番のポイントでもありま す。自業自得・・ではあるかも知れませんが、こういう作業はスランプやバグが 取れない・・など、原因になりそうなことは山ほどあります。
    例えば、海外への移植、販売を前提とした商品の場合、その移植、メッセージ変 更に費やされる時間と翻訳作業なども考慮する必要が出てきますし、特に難易度 調整についても、思った以上に制作費が高くついてしまうということもありえま す。

    そして二つめですが、ある程度の目標売上本数分のプレイヤーが、そのゲームソ フトを定価で購入した際、損したと思わせないことです。

    個人的にはその本数を売ること自体に対して、開発者が責任を考えてはいけない んじゃないか?と考えています。
    まあ、グラフィックデザイナーにとってはある程度、「面白そう」と思わせる要 素を盛り込むことも重要だとは思いますが・・。意外にこういったプレイヤーの 人数に対しての価格の責任・・ということまで考えている開発スタッフ、ディレ クターってなかなかいないんじゃないでしょうか?

    仮に、パソコンで1万、コンシューマーで5万本のソフトを売ることを目標とし ましょう。一万人ってどのくらいの人数か意識して見てください。
    あなたの通っていた学校の校庭に全校生徒が集会している人数の何倍ぐらいでし ょうか?
    たしかにゲームをより多く売ることは重要だとは思いますが、実際より面白そう に思わせて売れば、期待ハズレという評価とともに詐欺師の仲間入りです。
    腕のいい営業が頑張れば頑張るほど、押し売りや詐欺師みたいになっていては、 寂しすぎます。

    中古問題でエニックスが映画と同じ映像メディアであるという主張の元に、訴訟 の判決が出た事例もあります。
    スターウォーズもどきのシナリオのRPGやアニメが氾濫するゲーム業界で、そ の映像メディアとしてのゲームの優位性も忘れてはいけないのではないでしょう か?
    昔は、ゲームをやっているとカラダが動いて動いてしまう現象(?)がよく起こ りましたよね?また、ゲームセンターには体感ゲームなども多くありました。そ れはテーマパークという形ですが引き継がれつつありますが、大衆に分かりやす い形での表現をしすぎてはいないかなどといった感じもあります。

    また、エンターテインメント産業においての商品化と国家の周りにはそれなりに 壁があります。
    アメリカは映画市場の自由化を韓国やヨーロッパ各国などへアプローチを続けて います。それでも独自の文化、価値観を持った国に対しては、なかなか受け入れ られないのが実際の所のようです。これはある程度アニメなどの完全なフィクシ ョンが受けられている日本でもアニメより実写映画の方が上だという一般的な感 覚があるのに通じる所でもあります

    そういった意味でも、ゲームというのは各国に独自の文化がすでに確立している 訳でもなく、エンターテインメントとして柔軟性のあるメディアです。
    会社レベルの損得ではなく、もっとグローバルに考えられるようになるには、ま だまだ80年早いのでしょうか?

    とかく日本人というのは利害が絡んでくると、思考がロジカルになりがちです。 ギャンブルで考えると良く分かるかと思いますが、パチンコやスロットなどを攻 略するというのは確率の抜け穴を探すような行為であるのに対し、ラスベガスな どのカジノに代表されるギャンブルはカードコントロールも含め、エンターテイ メントとしての要素が多く見られます。
    どこの町にでもパチンコやスロット店があるのも異常だとは思いますが、多少売 れたからといって続編を続ける経営陣の思考というのも、この台で儲けたからと いって同じ台で打ち続けるオヤジとなんら変わらないと思います。

    ただゲームが3DCGという”実写のような”メディアを手に入れたことで、エ ンターテイメントの本質が見失われていく感覚が残念でなりません。

    話がずれましたが、それでもゲーム業界は一般のソフトウェア業界に比べれ ば、まだまだコストに対する部分が甘い・・というところもあります。
    これはいい意味で末端のクリエイターはコストを気にせず作れるという面もあり ますし、逆の面で言えばメガヒットを飛ばしたところでどの程度儲かったのかが 知らされていないという面もあります。
    良いか悪いかは難しいところですが、少しお金のことを考えて、コンセプトやク オリティコントロールにまで気が回るといいかな?なんて思います。

戻る