バランスと重心
さて、今回は重心について簡単に説明します。
前回のテキストの手と足を追加するだけのことですが、バランスの取れた絵を描くのは難しい面も
あります。正確にはバランスをとった姿勢を描くこと自体は簡単だけど、動きのあるイキイキとした
絵を描くのが難しいということかな?
例えば走っているところを横からみると、そのポーズにもよりますが、けっして”バランス”は取れて
いないと思います。前傾姿勢ですからね。
ですがその前傾姿勢も本当は体のバランスを取る為に自然に体が前に傾いているということなんです。
ホンダのロボット、ASIMOなんかは
予測運動制御という機能を盛り込んでようやくスムーズな自立歩行が出来るようになりました。
なんだ”ロボットが歩くだけか?”と思う面もあるかと思いますが、コの字型の広い面積の足をもったゼン
マイ仕掛けのおもちゃとの決定的な違いは、”バランスが崩れないよう範囲で歩く”と”バランスを取りながら歩く”
といった大きな違いがあります。
リンクを張っておきましたので、そのあたりの理論的なところはASIMOのサイトを参考にしてもらうとして、一瞬の動きや長く続けるのが困難な姿勢・ポーズを描くこと
こそが、生きた絵を描くということです。
こういったことがゲームやアニメ、コミックの絵を描く上で重要になることだからこそ、ここでの”デッサン”は、
”見て描く”ことを推奨しない部分があります。
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とはいえ、動きを観察するということは非常に重要です。
幸い今の時代はデジタルカメラや個人が入手できるムービー環境というのが身近にあり、繰り返して見ることが可能な
時代です。
もう少し詳しいことはいずれアニメーションのコーナーにて解説したいと思いますが、こういった一瞬を捕らえることが
重要で、それは同時にいろんな動きを監察することから始めるのが重要です。
で、実際にはあまり難しく考えることも必要じゃなく要するに右と左、前と後ろの”質量”のバランスを取ればよい
ということです。基本的にはおかしく見えなければOK!重要なのは”欲しいポーズを思い浮かべてそれを説得力のある形で想像できること”
それに伴って注意して欲しいことがあります。
例えば剣などの道具を持つと、その重さのバランスを取るように体を傾けてバランスを取ります。
某大作RPGの影響か、なかなか進まないマンガの影響か、ムダに大きな大剣を背負った少年の主人公を描く人も多くいます。が、
自分より大きな質量のものを支えることは難しいです。重量上げの選手を思い浮かべてください。鍛えられた筋肉で、ほんの一瞬、バーベルを上に上げる力を加えるのが精一杯で、まずは自分の肩や頭上に持っていき、ほとんど骨の上に乗っけているような感じです。
そこまで重くないにしても、金属で出来た剣を大して筋肉もない少年がモンスターと戦うなんて、最初から”おかしい”ということを自覚しましょう。
もしすごい力を持っている宇宙人だったという設定だとしても、バランスは取れていない訳ですし質量の問題はどうにもなりません。金属の剣に見えるけど、実はすごく軽いんです・・・とかいったいい訳の方がまだ”マシ”です。
そんな絵で「この絵のおかしいところを指摘してください」といわれても、そもそも間違ってます・・・としか言いようがないので、その辺は注意しよう。
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とはいっても基本的には多少のバランスのくずれはOKです。例えば自転車に乗っていてもきっちりと左右のバランスが取れている訳じゃないことが分かるでしょう。左右にゆらゆら倒れそうになってもその都度バランス取ることを子供の頃に”練習”することで乗れるようになりますよね。歩くことや普段の姿勢などは、自転車がなくても練習できるので、それこそ生まれたころにいちのまにか習得した技術が備わっています。
普通に止まっている人でもそれなりに少しは動いていますよね。意識して”止まろう”とすると逆に疲れると思います。
これは体がラクな方に倒れてしまわないように無意識にバランスを取っているからです。
そこで・・
・止まっているか動いているのか、自分のなかでのそのポーズの状況を考える。
・もし止まっているのならば倒れてしまわないかどうかチェックする。
ですが完全にバランスが取れていなくても多少は補正してくれます。
・もし動いているのならば、どんな動きの途中なのかを考える。
例えば垂直にジャンプするときなど、登りのときにはまず力を溜めてそれを足を一気に伸ばすことで
ジャンプしますよね。そして降りるにしたがって着地を考えてバランスを取ろうとしたり、足を曲げて
クッションの役割をさせます。
地面より上に人を描く時にもこれらのポーズの”役割”から登りなのか降りなのか判別できるようにしましょう。
なんにしろバランスをとろうとしすぎることよりも、どんなポーズを描こうとしているのか分からない方が
問題がありますのでそれを考えてみましょう。
それと同時にいきなりバランスよく描けるようなものでもありませんので、簡単な形状でいろいろな構図を試しながら
描いてみるのが大切です。おかしいと思ったら、なぜおかしいのか考えてみましょう。