「技」術は盗めない
前回いよいよ練習に入ると書きはじめておいて、結局実質的な練習に入れませんでしたので、今回からが本番ですね。
ですが逆にいえば、前回までのテキストについては知識としてあればいい部分も多かったですが、今回からは実際に
練習しなければ絶対に上手くならない部分ではありますので、その辺は覚悟しておいて欲しいと思います。
よく料理人の修行などで、師匠の動きをよく見て技を盗め・・というようなことが言われることがありますが、それは
いちいち教えてもらっては自分の技術にならないという面と、観察によって自分なりに試行錯誤してほしい面があるからだと思います。
絵に関しては私は1から私の考え方はすべて教えたいと思う。だが、教えられる部分と教えることが出来ない部分がある・・特に"上手くなる"という点に関してはやはり教えることは出来ない。正確には教えても実践しなければ技術として身につかないんですよね。
そういった面があることを意識して、今後のテキストは読んで欲しいと思います。
最低限の骨格をマスターする
ということで実際の絵を描くことになりますが、当面描けるように目指すのは左のような図です。
・・・そこ!先行者みたいだとか言って笑わない!
簡単だと思うでしょうが、こんな感じの人体のベースが想像で描けるかどうかというのは大きなポイントです。
そもそもこういうのがサっと描けるようならば、木製のデッサン人形のようなものは売ってないでしょう。
まあ、そこそこ描ける人ならばこの程度は簡単なのでしょうが、体が上手く描けない・・と思ってる人には、ここから
始めるのがいいでしょう。
実際に骨格から考える方法は後半に描く予定ですが、ここではマッスによる描写をするための最低限のバランス感覚を
養うのが目的です。
バランス(重心)に関しては次回以降に回しますが今回は腰から上の胴体部分に関して考えていきます。
具体的にはこんな感じになるでしょうか?
あまりシルエットや形の変化が現れにくい、頭と上半身それに下半身の大まかなパーツで分けて考え、それをつなぐことで
まずは簡単に現在の体の状態を把握しよう・・ということです。
このあたりを正確にやるには本来骨格から描けるようになるべきではありますが、なかなか難しいですからね。
ここでまず覚えておいて欲しいことは頭、上半身、下半身と蛇腹状の背骨でつながっている・・ということです。
これは体において正面からは見れば中心ではありますが、側面からみれば背骨は胴体において後ろの方にあり、滑らかにカーブを
描くように通っているということです。ですからあまり”無理のあるポーズ”にならないために胴体に関してはこの背骨の可動
範囲を考えてバランスよく描きましょう。
ちなみにこちらはPOSER3の骨格モデル。
骨格のレベルで側面の図をみるとなんとなく真中でバランスが取れているような感じがしますが、実際には腕の動く範囲などの
関係上、胸やその他の肉が全体的に前についたり背骨のカーブの関係上、相対的に胴体の後ろから首が出ていて、その上に頭が
乗っている感じがします。
そういう意味ではアンバランスな感じです。
ずっとイスに座っていたりするとつい猫背になってしまうのは、バランス的には前に傾けた方が体が”ラク”だからでしょうね。
そもそも立って歩いてるなんて人間だけの奇妙な行動スタイルですから。

ということでまずは3つの塊・・というかブロックを紙に描いてそれを背骨でつなぐ感じでいろいろ描いて見ましょう。
その際にまずはこれぐらい分かるようにしておいて欲しいことはその”角度”です。
頭がどっちの方向を向いているのか?胴体のパーツはどんな角度でどういった傾きなのか?
みなさんも美術の時間などで石膏で出来た丸や円柱などをデッサンしたことがあるかもしれませんが、まああれの簡単な感じです。
まじめに円柱の影をつけてもつまらないものです・・・。デッサンといってああいったものをたくさん描かせるのはイマイチ面白さにかけるのであまりやらせたくないのですが、これぐらいのレベルで結構ですから簡単な立体を描いてみましょう。
同時に気をつけて描いて欲しいことは
手前のものほど大きく見え、同時に手前のものほど優先して見える(奥の物体は手前の物体に隠れる)
ということです。
あたりまえだと思います?
右の図は曲げた腕をイメージして描いてみましたが、線としてはあまり大きな違いがありません。
ですが、例えば腰に手をあてているような場合で腰や肩の前後、肘が肩や手首の位置より前か後ろか、そして見ている人の視点によって変わる訳です。
微妙な前後関係でも形が大きく変わるので、たかが丸三つの団子の親戚を描くと侮らず、しっかりその状態をイメージして描きましょう!