顔が先?頭が先?
では実際に顔を描いて行こうと思うのですが、その前に頭が描けないと いけませんよね。ここはデッサン室な訳ですから本来は顔を描くなら、 頭や鼻、額や頬の微妙な角度を立体的に意識する必要があると思います。

ですが、ここはあえて二次元的に顔の描き方から説明していこうと思います。
たとえば実際に3Dでモデリングしていくという場合も、一般的にはオリジナルの キャラクターデザインがある場合は正面図、側面図などの下書きを取り込んでメッ シュを意識しながら片面半分のみを押し出し、面張りをして制作していきますよね。
それに大してCG映画などは、例えフルCGのアニメ映画でもやっぱり実際に作った 顔や全身像のモデルを作ってから、それを取り込んで使うという手法を使っています。

これはどちらがいいという問題でもなく、リアリティや微妙な感じを出したい時には 間違いなく後者の方がいい面が多いのではないでしょうか?
でもなぜそうしないか?というとこれは機材的、制作期間的なコスト面から、なかな かそれが許される場面がなかなかない、それにそれほどリアリティが必要とされてい ない場合も多くあるからです。それどころか一部だけリアルすぎると違和感もありま すから、そのあたりのバランスの問題なのです。

ですから、アニメーション作品ならかなりの枚数を描く事になるので、量産性を考慮 した描きやすい絵というのが大切です。
テレビシリーズの3DCGアニメーションのペコラなどは3Dでありながら、生産性 を考慮している日本らしいアニメに見えます。
3Dゲームなら求められた制限(ポリゴン数やテクスチャーの容量、シェーディング 方法)の中で、いかに特徴を出すか?などがポイントになってくると思います。

ということで、3D的に想像することとそれを詳細に描き出す訓練をここではしていく 訳ですが、マンガ的なディフォルメも意識することが大切です。
その為に最低限の約束を考えながら描いて欲しいのです。

"普通"の人間はこんな感じ・・・じゃあ目がぱっちりした印象を与えるにはどうしたら いいのか?子供っぽく見せるのにはどうしたらいいのか?そんなことを考えて描く事が 出来るようになって欲しいと思います。

顔、頭の基本的な考え方
まずはこの図を見てください。
見てのとうり丸に四角をくっつけたものですが、それぞれ3等分した線と2等分した線が 引いてあります。

基本的に頭や顔といったものは個人差があり、整形手術等で少し変更するだけで大きく印象が 変わるものですから一概には言えないのですが


基本は丸(頭)に四角(顔)がくっついていると考える。
額のライン(眉)と鼻の下の線は3等分。またその幅は耳の幅に近い
顔を二等分した中間点を目安に目を描く。

この点を気をつけて描いて見ましょう。
これは前回のテキストで、顔を漢字で例えたところの漢字練習帳のマス目になります。 絶対に、はみ出してはいけないものではありませんが、このバランスが崩れると、 かっこ悪くなってしまいますよ。

そして少しアニメ的な顔を描いて重ねたのがこちら。

これらの位置関係的なポイントと最初に描いた丸と四角を意識しておくことが 重要です。
頭蓋の骨格的には額は平らではなく眉の上の膨みがあることや目横近辺のへこみなどで 印象的に四角く見えるということです。また耳の下の少し垂直に降りているところもポイントですね。
下顎の骨と頭がどんな感じでつながっていて口をあけるとどんな角度になるのか? 自分の頭の形の特徴などを自分自身の顔や頭を触ってみて感じてみてください。

立体的な感覚は立体的なものを触ることで身につくものです。
2Dから3Dに転向することになったデザイナーでもガンプラブームでちょこ ちょこプラモデルなどを作っていた世代とそれ以降のゲーム世代では感覚が違う 部分を感じます。

それはともかくとして、一人一つづつ、頭のサンプルは持っている訳ですから、 これを活用して少し自分の頭を触ってみましょう!

デフォルメの方法
リアルな人間の頭をリアルに描くのも重要ですが、それをこれらの基本的な法則を 踏まえた上でディフォルメして自分のオリジナルキャラクターを考えるのもまた 重要なことです。ではそれはどうやったらよいのか?ディフォルメの法則について 同時に考えてみます。

まず、アニメーションや特にマンガの場合、基本的に"線"ですべてが表現されて います。これは何故だか考えたことがありますか?
「そういうものだ」といえばそうなのですが、それは他人の作品や価値観に左右され すぎる危険性があるので一度取り払った方がいいと思いますし、現にいままでのアニ メの価値観では図れない作品が多く出てきています。
たとえばCGアニメであるシュレックなどは3DCGで影や光をレンダリングした映像 なので線などありません。ニコチャン大王みたいな耳のついたオーガが主人公ならば、 キャメロン・ディアスをモデルにしたリアルなキャラクターも出てきますし、エディ・ マーフィーの声で喋りまくるロバも出てきます。CGという手法と3年の月日と多くの スタッフの力をかけることが出来たからこそ作ることが出来たのです。

これに限らず、ファイナルファンタジーのフル3DCG映画だってあるし老人と海のような 絵画が動くようなアニメーションだってあります。
結局は何を表現するのか?どの程度で表現するのかを考え、それにもっとも適切な手法と スタイルを用いるのが重要なのです。

天才バカボンに対して「リアルじゃないよ!」というようなツッコミはナンセンスですよね。
またサザエさんやちびまる子ちゃん、クレヨンしんちゃん等は比較的リアルな日常のワンシーンを 描いた作品ですが、リアルにしたらもっと良くなるなるわけじゃないのも想像できるでしょう。 基本的な法則に基づきながら、自分なりの解釈や絵柄の特徴をいかにバランスよく盛り込むのか。 また、その絵を見たときにキャラクターの特徴を見ただけで伝えられるかどうかにかかっています。

年齢を表現する
まずはこの図をご覧ください。

先ほどの絵の目から下の部分を単純に縮小したものです。
どんな印象を受けますか?

多分、子供っぽくなった・・と思うのではないでしょうか?
人間は成長に従いいろんな部分が大きくなっていくものですが、全体を囲まれている頭蓋骨の部分は あまり変化がありません。その為、顎が発達・成長する前の子供のころは目から下の部分を小さく描けばそれっぽく見えたりします

また、この状態は目が相対的に大きい印象を受けます。
これが子供っぽい印象を、ひいては"かわいい"という印象を与えます。猫が人間社会に多くいるのも 見た目のかわいらしさで保護されてきた・・という面が多くあるのではないでしょうか?

かわいらしさの限界点
最近、アニメマンガのキャラクターはかなり目が大きい印象があります。 10年も前では日本のアニメといえど考えられない大きさで、ここまで述べてきた基本ですら超えて しまった感がありますが、この差はどこから生まれているのでしょうか?
ポイントは額のラインの拡大解釈にあります。
本来、目の大きさは頭蓋において目の部分の穴にはまっているものです。基本的にはこのラインより 大きなものは"ちょっとおかしい"と感じるハズです。
ですがギャグマンガといったジャンルが発達しているこの国では、その基本的なラインさえ踏み越え てしまいました。じゃあどこまで大きくしてもいいのか?とりあえず私は目を中心に、上記でいうところの額のラインまでではないかと考えました。

ということで、額のラインまで目の大きさを拡張したのが、この絵です。眉を新たに書き加え、鼻のラインを消しました。かなりかわいい印象になってきましたが、少し鼻が高く見えるのが気になりますね。

動物の印象を加える
ということで、鼻から下のラインを回転させ、顎につなぎました。
少し猫の頭蓋の印象になってきましたね。

擬人化・・じゃあありませんが、動物の印象などを加えることで、与えすぎてしまった 個性に正当性を与えることも可能です。

ですが、こういった形のものを最初から"こういうものだ"・・と肯定することは問題があると思います。

顔は作品のひいては作家のイメージを特徴づける大切なポイントですので、安易にヒットしている 作品のキャラクターを真似するのでなく、自分なりの法則を考えるようにしてください。

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